思い出したように遊戯王×えの素。今回は海で釣りをするお話からですー。
遊戯と遊馬が海釣りに出かけると、そこには海馬社長もいて…。
取り敢えず続きからどぞ!
「やっほー!海だー!!」
今日は快晴、絶好の釣り日和である。遊戯と遊馬は釣り道具一式抱えて海岸にいた。
「さーて、早速釣るぞー!」
遊馬が釣竿を振り上げた。ルアーはアストラルの形を模した特注品だ。しかしこんなもので本当に魚が掛かるのだろうか。そこに遊戯がこんな提案をした。
「ねぇ、どっちがどれだけ多く釣れるか勝負しない?」
「お、それ面白そうだな!…でも、それ『闇のゲーム』の一環じゃないよな…?;」
「大丈夫だよ、今回『もう一人の僕』はここにはいないんだ」
遊戯のもう一人の人格、通称「裏遊戯」こと古代エジプト王・アテムは今回は大人しく留守番をしていた(アストラルも一緒にいる)。留守中にデュエリストが押しかけてきた時の対処のためだ。
そんなこんなで二人してクーラーボックスを満杯にするほど釣りを楽しんでいると、後ろから誰かが声をかけてきた。
「貴様ら、こんなところで何をしているんだ」
「あ、海馬君もいたんだ」
「おー!瀬人も釣りすんのか?」
「当たり前だ、俺だってデュエル以外の娯楽はある!」
意外だと言わんばかりの遊馬の言葉に瀬人はふん、と鼻を鳴らして言い返した。
「まあいい、俺は貴様ら以上にでっかい獲物を大量に釣り上げてみせる!精々それを指を咥えて見ているんだな、ふはははははは!!」
相変わらずの嫌味ったらしい台詞である。瀬人は得意満面で釣竿を取り出した。
「さあ、俺に美しく、力強いその姿を見せてくれ!」
そう叫んで瀬人は釣竿を振り翳した…が、釣り針が襟元に引っかかってしまった。それに気づかず釣竿を思いっきり振り下ろしたものだから…
びょーんっ。
「え?…うわああああああああ!!;;;」
勢い余って自分がすっ飛んでいってしまった。そのまま海に落っこちる瀬人。遊戯は呆れ顔、遊馬は腹を抱えて笑い転げていた。
「あらら…」
「ぶははははは!アホだー、こいつ自分を餌にしてやがんのー!www」
しかし何時までも笑いのネタにしている場合ではない。遊戯は岸壁から海に落ちそうになっていた釣竿を掴み、遊馬は必死でリールを巻き上げ、釣り糸を引いた。
やがて糸に手ごたえが有り、リールが重くなった。渾身の力を込めてリールを巻き、竿を上げると、大きな影が水面に見えてきた。
釣り上げられたのは巨大な魚だ。腹の中から「助けてくれ~…;」という情けない声がする。二人がかりでよいしょよいしょとその魚を引き上げ、魚の腹を切ってみると、その中で瀬人が丸くなっていた。
「何やってんだよお前、自分を餌に魚を釣る人間なんて見たことないぞ」
「大丈夫~…?;」
「め、面目ない…;」
めっそり顔で瀬人が恥じ入る。遊馬は面白がってその様子の写メを撮った。
「お、おい、それをどうするつもりだ?;」
「え?決まってるだろ、皆に一斉送信すんだよ。遊戯だろ、克也にヒロトに羽蛾に竜崎に了に、遊星と十代にモクバも…」
「Σおい、やめろ!そいつにだけはやめてくれ!;;;」
「えー?何でだよ、きっと面白がってくれるぜ」
「違う、違うんだ!モクバにだけは俺の情けない姿を見せたくないんだーッ!!;;;」
真っ青になって慌てふためく瀬人に、遊戯は「あー、海馬君はモクバ君を本当に大切にしてるからねぇ…」と納得した。
「でも、モクバ君もきっと、自分の知らない君の姿をもっと知りたいって思ってるかもしれないよ」
「そんな訳あるかー!あいつの記憶の中の俺は何時でも完璧で美しくてかっこいいんだーッ!!;;;」
愈々必死な瀬人の姿に遊馬はまともに立っていられないほど腹筋を崩壊させていた。
「分かった、分かったよ、モクバにだけは勘弁しといてやるから…。…あ、そうだ、俺達の釣果を運ぶの手伝ってくれないか?こんなに釣りすぎちゃってよ、俺達だけじゃ運びきれないんだ…」
「何か不本意だが…まあ、モクバに俺の恥ずかしい姿を晒すという事態は免れたし、いいか…」
少々不服そうながらも、瀬人は申し出に応じてくれた。
「(あー、それにしても海馬君と一緒にいると色々と楽しいな…)」
そう思い、遊戯は小さく笑った。
本編1本更新しました。
伊作と兵士、それから2回目の登場となる建家も参加します。
回想シーンだけでなく過去シーンも多いです。
次はいよいよ二年は組の戦いです。
楽しみにして下さい。